いわゆるダンピング受注に係る公共工事の品質確保及び下請業者へのしわ寄せの排除等の対策について
 
官房長・総合政策局長発
各地方整備局長宛
 
 一般競争入札の拡大により、入札契約制度の透明性が高まっている一方、昨今、大規模工事において低入札価格調査制度調査対象工事の増加傾向が見受けられるが、いわゆるダンピング受注については、公共工事の品質の確保に支障を及ぼしかねないだけでなく、下請けへのしわ寄せ、労働条件の悪化、安全対策の不徹底等につながるものであり、国民の安心・安全の確保や建設業の健全な発展を阻害するものである。このため、今般、主に大規模工事を中心として重点的なダンピング対策を溝ずる以下のような措置を取りまとめた。
 
1. 適正な施工の確保の徹底
  (1) 低入札価格調査対象工事に係る重点調査の対象拡大及び調査結果のホームページにおける公表
   
予定価格2億円以上の低入札価格調査対象工事は全て重点調査を実施することとし、その調査結果をホームページにおいて公表。
       
  (2) 下請業者への適正な支払確認等のための立入調査の強化等
  [1] 一般競争入札における低入札価格調査対象工事を中心に、地方整備局等の建設業担当部局等が下請業者も含め緊急立入調査を実施(契約の締結状況、下請代金の支払い状況等について、詳細な実態把握)、必要に応じフォローアップのための追加調査を実施。
  [2] 調査の結果、改善が必要な場合には、建設業法に基づく勧告、監督処分等を実施。必要に応じて関係機関へ通報。
  [3] 建設業法上の監督処分に連動し、指名停止等によるペナルティを実施。
       
  (3) 工事コスト調査の内訳の公表
   
工事施工後に行う工事コスト調査の内訳及びその分析結果(低入札価格調査資料との整合性等)を公表。
       
  (4) 発注者の監督・検査等の強化
  [1] 予定価格2億円以上の低入札価格調査対象工事について
   
モニターカメラを工事現場に設置し、監督業務において補助的に活用することにより、工事全体の施工状況を把握。
発注者の指定する不可視部分の出来高管理を、受注者がビデオ撮影により行い、発注者に提出することを契約上義務付け。
  [2] 政府調達協定対象工事における低入札価格調査対象工事については、契約図書に示された施工プロセスで施工管理が適切に行われているかを発注者が常時確認。
       
  (5) 受注者側技術者の増員の対象拡大
   
予定価格2億円以上の低入札価格調査対象工事について、専任の監理技術者の配置が義務付けられている場合において、過去2年間に7 0点未満の工事成績評定を通知された企業等である場合には、専任技術者を増員して配置。(現在は、工事成績評定65点未満の企業等を対象。)
       
  (6) 指名停止措置の強化
   
低入札価格調査対象工事における粗雑工事については、指名停止期間を最低3カ月とし、ペナルティを強化。
       
2. 適正な競争環境の整備
  前工事の単価による後工事の積算
   
大規模工事における国庫債務負担行為の設定を再検討し、可能な限り分害I発注を行わないよう計画を設定。前工事と後工事の関係にある工事のうち、「政府調達に関する協定」の適用を受ける前工事が、低入札価格調査制度調査対象となった場合については、前工事で単価等の合意を行い、後工事に係る随意契約を行う場合は、前工事において合意した単価等を後工事の積算で使用するものとし、その旨を入札説明書等で明記するものとする。
       
3. ダンピング受注対策地方協議会の開催
 
各地方ブロック内の発注者間のダンピング受注に関する意見交換等の場として18年度早期に開催。
       
4. その他検討事項
  入札ボンドや総合評価における価格評価方法の見直し等を検討。