雇用改善ニュース
 平成19年度
高校生・専門学校生による建設業に対する作文・ポスター
優秀賞 「私の進む世界」
 
愛知県立半田工業高等学校 建築科 3年 新美 隆之
 
 「芸能界、野球界、ラーメン業界など、世の中にはたくさんの業界がある。」私はその中の一つ、建設業界に大変興味を抱き、工業高校に入学した。
 「建築科って何をするの?」「土木科とはどう違うの?」と言う一つの疑問があった。私の通っている学校は一年生の時は、建築科と土木科が一緒になっており、二年生になると建築科と土木科にそれぞれ分かれる制度になっている。その時、生徒の間でよく飛び交うのがこの疑問だ。確かに一年生の時、私もこの制度に疑問を感じていた。建築科に進む気でいた私にとって、実習の授業などで明らかに土木系だろうと思う実習は、「やる意味があるのかなぁ」と思ったり、逆にこれは建築系だろうと思う実習は、土木科へ進む人にはどうなんだろうと思ったことだ。「どうせなら一年生のときから建築科と土木科に分かれればいいのに」と感じていた。しかし、二年生になって驚いた。それは、一年生のときに「意味があるのかなぁ」と思っていた実習の内容が、授業で役に立ったりしたからだ。そして、入学当初に抱いたもう一つの疑問が気になった。建築科と土木科はどう違ったのか?実際には建築科は建物工事を行い、土木科は基礎工事を行っていた。
 結局、建築科も土木科もそれぞれ一つの建設業だと私は思う。しかし、一口に建設業と言ってもたくさんの職種がある。建物の内装を工事するのも、基礎工事をするのも、設計をするのも、建物の完成までに関わった業者の全てが建設業だと思う。そして、それぞれ全く違った仕事をする業者が、たった一つの建物を造るのに何年も前から計画を立て、何年間も工事をする。その建物は何十年も建ち続ける。自分で建てたものが何十年も残る。もしかすると私が死んでも建ち続けているかもしれない。私は建設業とは素晴らしい仕事だと思った。建設工事にはたくさんの人や業者の力が必要である。野球に各守備位置や各打順などの役割があるように、それぞれの工事に適した業者が選ばれるのである。そして、その期待に応えるために、精一杯のプレー(仕事)をして、観客(通行人)に見てもらい、この次も監督(依頼主)に選んでもらえるようにアピールするのである。また、みんなで一つの建物を造る訳であるから、一人でも欠けたり、一人でも手を抜いたりしたら良い結果を得ることはできない。またこれに反して、陸上十種競技のように全てを一人でやっていくのも悪くないと思う。
 みんなで一つの建物を造るのもいいと思う。一人で一つの建物を造るのだっていいと思う。ただ、プレーヤーとして選ばれた以上はスポーツマン(社会人)ということを自覚して、フェアプレーを心がけていってほしい。何故なら、最近、耐震偽装の問題が世の中で大きな騒ぎになり、大地震がくると言われているこの地域で最も人々を不安にさせてしまったからだ。
 建設業でルール違反を起こすということは、依頼者は勿論のことですが、大勢の人々を不幸にしてしまう。また、建設業界にも同様に・・・・。
 私たちは、一般の人では知らないような専門的な知識を学んでいるということを自覚していきたい。そして、地震に強い建物を造るも、欠陥だらけの建物を造るも、専門家が調べないと分からないのである。それだけの知識を活かせば人々に夢や希望を与えられると思う。しかし、悪く使えば、一瞬にして大勢の人々を傷つけてしまう凶器となってしまう。このことを忘れないでほしい。そして、私もこのことを忘れないで、これから建設業界のもっと奥へ進んでいき、フェアプレーを心がけて、たくさんの人々に夢や希望を与えていけるような建築家になりたい。
 この世界を知らなかった人、興味を持っている人に一言。この世界は知っているようで、実際には知らないことばかりで、なかなか奥の深い世界である。私もこの世界にほんの少し足を踏み入れたばかりであるが、入る前は謎だらけで不安だらけでした。しかし、勇気を出して入ってみると、新たな自分を見つけることができ、たくさんの人と出会うこともでき、とても楽しいことばかりでした。迷っている時は怖がらないで思いっきり飛び込んできてはどうですか。